コミュニティ 2025年12月7日 読了時間: 6分

なぜ日本人は、ここまで「米」を愛するの?

uno mao
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株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
食べることは、生きること。
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
Instagram:https://www.instagram.com/______iiii__/
なぜ日本人は、ここまで「米」を愛するの?

パン屋さんの前を通れば、焼きたての香ばしい匂いに幸せな気持ちになる。

ランチには、美味しいパスタやピザが食べたい日もたくさんある。

私たちの食生活は、こんなにも豊かになりました。

それなのに…。


一日の終わりに、炊きたてのごはんとお味噌汁の湯気が立ちのぼると、体の奥から「ふぅーっ」と安堵のため息がもれませんか?

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子どもが遠足に持っていくお弁当が、やっぱり「おにぎり」だと嬉しそうな顔をするのは、なぜでしょう。

洋食も中華も大好きなのに、なぜ私たち日本人は、ここまで「お米」を特別に愛してしまうのか。

それは、単なる「好み」や「ノスタルジー(懐かしさ)」という言葉では片付けられない、この国の成り立ちそのものと深く結びついた、壮大な物語だったんです。

今回は、その「お米愛」の秘密を探る、親子のための〈社会科見学〉です。


それは「好み」ではなく、「OS」だった

私たちが「お米」を選ぶ理由。

それは、お米が単なる食べ物の「選択肢の一つ」ではなく、日本という国と、私たちの暮らしを動かす「OS(オペレーティングシステム)」そのものだったからです。


1. 日本の「風土」が、お米を選んだ(地理)

なぜヨーロッパでは小麦(パン)が、日本ではお米が主食になったのでしょう?

それは、「雨」が関係しています。

  • 小麦: 乾燥した気候を好みます。
  • お米(稲): 成長にたくさんの水が必要です。

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日本は、世界でも有数の雨が多い国。梅雨があり、台風が来る、高温多湿な気候です。

この風土は、小麦を育てるには少し大変ですが、水をたっぷり使う「稲作」には、まさに天国のような場所でした。

日本の風土が、「お米を育てよう!」と私たちのご先祖様にささやきかけたんです。


2. 日本の「社会」が、お米でできていた(歴史・経済)

お米は、ただの食べ物ではありませんでした。それは「富」そのものであり、「社会のルール」でした。

  • お給料も、税金も「お米」: 昔は、お給料(お侍さんの給料など)も、税金(年貢)も、すべて「お米」で支払われていました。国の豊かさを示す単位は「石高(こくだか)」=お米がどれだけ採れるか、でした。
  • 「水」をめぐる共同体: お米作りで一番大切な「水」。田んぼに水を引くためには、川を管理し、水路を作り、みんなで公平に分け合う必要がありました。「自分だけ良ければいい」は通用しません。「ムラ」という共同体を作り、みんなで協力するルールが、この国に根付いていったのです。

3. 日本の「国土」を、お米が守ってきた(環境)

私たちが目にする「水田(田んぼ)」は、実はお米を作る以外にも、とてつもなく重要な「お仕事」をしてくれています。

それは、「天然の巨大ダム」としてのお仕事です。

雨が多い日本では、昔から「洪水」との戦いでした。

水田は、そのまわりに「あぜ道」という土手があるおかげで、降った雨水を一時的にたっぷりと溜め込むことができます。

一気に川に水が流れ込むのを防ぎ、洪水を防いでくれる。さらに、溜まった水はゆっくりと地面に染み込み、きれいな地下水にもなってくれます。

お米を育てることそのものが、この国の「水」を治め、国土を守る行為だったんですね。

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今日から気軽にできるポイント

「お米」が、日本の風土、社会、国土そのものである。

そんな壮大な物語を知ると、いつものごはんが少し違って見えてきませんか?

この「OS」を、もっと楽しく味わうための、簡単なポイントをご紹介します。


ポイント①:親子で「利き米(ききまい)」選手権!

  • スーパーには、「コシヒカリ」「あきたこまち」「つや姫」「ゆめぴりか」…たくさんの名前のお米が並んでいます。でも、その「味の違い」を意識したことはありますか?
  • 小さな「塩むすび」をいくつか作って、「こっちは甘いね!」「こっちはモチモチしてる!」と、食べ比べクイズをしてみましょう。
  • 育った土地の気候(新潟の雪解け水、山形の昼夜の寒暖差など)を想像しながら食べると、旅するような気分になれますよ。

ポイント②:茶碗一杯の「旅」を想像する

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  • 茶碗一杯のごはんには、お米の粒が約3,000粒も入っていると言われます。
  • その一粒一粒が、春の田植えから、夏の草取り、秋の稲刈りまで、たくさんの時間と農家さんの手間を経て、長い旅をしてきたんだな…と想像してみる。
  • 絵本や動画で、お米ができるまでのプロセスを親子で見てみるのも、素敵な体験です。

ポイント③:「おにぎり」という発明に、感謝する

  • ごはんを「手」で「塩」をまぶして「握る」。
  • ただそれだけで、保存がきき、持ち運びやすくなり、そして何より「素朴で最高のごちそう」になる。おにぎりは、お米を愛する日本人が生み出した、シンプルで完璧な発明品です。
  • 週末の朝、「わが家の最強おにぎり」と題して、好きな具材で家族みんなでおにぎりパーティーをするのも楽しいですよ。

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「ホッとする」は、土地とつながる音

パンもパスタも、私たちの食卓を豊かにしてくれる、大切な仲間です。

その上で、私たちが「お米」を食べたときに感じる、あの体の奥から「ホッとする」感覚。

それは、単なる懐かしさではありません。

それは、何千年もの間、この日本の雨水と土と太陽で育まれてきた「命のバトン」を、私たちが体に取り込んでいる音なのかもしれません。

私たちの体と、この土地が、深く深くつながっている証拠。

さあ、今日はどんな「ホッ」を味わいますか?

次の一口は、きっと昨日より、ずっと豊かな味がするはずです。

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